マンションを売却するなら、少しでも高く売りたいと考える方は多いでしょう。
ただし、マンションを高く売るために必要なのは、単純に高い価格で売り出すことではありません。周辺や同じマンションの相場を把握し、販売戦略に納得できる不動産会社を選び、購入希望者に見つけてもらいやすい価格と広告で売り出すことが重要です。さらに、販売開始後の問い合わせや内覧の反応を確認しながら、価格や見せ方を調整していく必要があります。
一方、査定価格の高さだけで不動産会社を決める、高額なリフォームをしてから売る、反響が少ないからすぐ値下げするといった判断は、結果的に手取り額を減らす原因になることがあります。
マンションを高く売るには、「価格を上げる方法」だけでなく「必要以上に価格を下げない売り方」を知っておくことが大切です。
この記事では、マンションを高く売るために実践したい10のコツと、売却前後で注意したいポイントを紹介します。
目次
マンションを高く売る前に知っておきたいこと
マンションの売却価格には、売主が変えられない条件と、売却時の工夫で改善できる条件があります。
例えば次のような違いがあります。
| 売却時には変えにくい条件 | 売却時に工夫できること |
| 立地 | 売り出し価格 |
| 築年数 | 不動産会社選び |
| 所在階 | 広告写真 |
| 方角 | 物件情報の見せ方 |
| 専有面積 | 室内の整理・清掃 |
| 間取り | 内覧対応 |
| 眺望 | 売却スケジュール |
| マンションの規模 | 価格見直しのタイミング |
駅からの距離や築年数、所在階などは売却するときに変えることはできません。
一方、販売価格や広告、内覧時の印象、不動産会社の選び方などは売主側でも改善できます。
高く売りたいときほど、変えられない条件へ無理にお金をかけるのではなく、価格設定や販売方法など「変えられる部分」を整えることが重要です。
マンションを高く売る10のコツ
1.同じマンションの成約相場を確認する
マンションを高く売るためには、最初に現在の相場を把握します。このとき、同じ市区町村の中古マンション平均価格だけを見るのではなく、できるだけ自分の部屋に近い条件の売却事例を確認することがポイントです。
特に参考になるのが、同じマンション内の取引です。
・専有面積
・間取り
・所在階
・向き
・売却時期
などが近い部屋であれば、価格を考えるうえで参考になります。
同じマンションの事例が少ない場合は、周辺にある築年数や駅距離、広さなどが近いマンションも比較します。なお、現在売りに出されている価格と、実際に売買が成立した価格は同じとは限りません。
「いくらで売りに出されているか」だけでなく、「実際にいくらで売れたのか」を意識して相場を見ることが大切です。
2.査定額の高さだけで不動産会社を選ばない
複数の不動産会社へ査定を依頼すると、同じマンションでも査定価格に差が出ることがあります。最も高い査定額を提示した会社へ依頼したくなるかもしれませんが、査定額はその価格で売れることを保証するものではありません。
例えば、
A社 4,200万円
B社 3,900万円
C社 3,850万円
という結果なら、A社が魅力的に見えます。
しかし、周辺の成約状況から3,800万~3,900万円程度が現実的な価格帯なのであれば、4,200万円という査定の根拠を確認する必要があります。
査定を比較するときは、
・どの成約事例を参考にしたのか
・同じマンションで売却実績があるか
・想定している売却期間
・どのような購入者を想定しているか
・どのような販売方法を考えているか
まで確認します。
高い査定額よりも、「なぜその価格で売れると考えているのか」を説明できる不動産会社を選ぶことが重要です。
3.マンション売却を得意とする不動産会社を選ぶ
不動産会社によって、得意とする物件や地域は異なります。
戸建てや土地を中心に扱っている会社もあれば、中古マンションの売買を多く扱っている会社もあります。
マンションを高く売りたい場合は、
・同じマンションの取引経験
・周辺マンションの売却実績
・マンションを探している購入希望者の傾向
・広告の出し方
・内覧後のフォロー方法
などを確認します。
特に同じマンションや近隣で売却経験があれば、どのような人が購入を検討するのか、どの条件が評価されやすいのかを把握している可能性があります。
会社の規模だけではなく、「このマンションをどう売る予定なのか」という具体的な販売戦略を見ることがポイントです。
4.売却期限を先に決めておく
高く売りたい場合でも、いつまでも売却を続けられるとは限りません。
住み替えや転勤などがある場合は、「いつまでに売る必要があるのか」を先に決めておきます。
例えば、
・3か月以内に売りたい
・半年程度なら待てる
・価格優先なので時間には余裕がある
では、適した売り出し価格も変わります。
売却期限が迫ってから値下げすると、価格交渉で余裕を持ちにくくなることがあります。
高く売りたい場合ほど、売却期間には余裕を持たせておくことが大切です。
5.検索される価格帯を意識して売り出し価格を決める
売り出し価格は、査定額だけを見て決めるものではありません。購入希望者がどの価格帯で物件を探しているのかも意識します。
例えば3,000万円前後の予算で探している人が「3,000万円未満」で検索する場合、3,080万円の物件は検索結果に表示されず、2,980万円なら候補に入ることがあります。
だからといって、必ず端数価格にすればよいわけではありません。同じマンションや周辺の競合物件、購入者が検索しそうな価格帯、値下げ交渉に対応できる範囲などを考えて設定します。
高く売りたいからと相場より大幅に高く設定すると、そもそも購入候補として見てもらえない可能性があります。
6.売り出し直後の反応を確認する
マンションの販売を始めたら、不動産会社へ任せきりにせず反響を確認します。
特に見るべきなのは、
・物件情報がどの程度見られているか
・問い合わせが何件あるか
・内覧につながっているか
・内覧後にどのような反応があったか
です。
例えば、
広告は見られているが問い合わせがない
→価格や物件条件が比較で負けている可能性
問い合わせはあるが内覧されない
→広告情報と希望条件にズレがある可能性
内覧はあるが申込みがない
→室内の印象や価格とのバランスが原因の可能性
というように、止まっている段階によって対策が変わります。
売れないからすぐ値下げするのではなく、「どこで購入検討が止まっているのか」を確認することが重要です。
7.広告写真と物件情報を確認する
中古マンションを探す人は、内覧する前に物件写真や間取り、立地などの情報を見て候補を絞ります。そのため、実際には魅力のあるマンションでも、掲載写真や説明が不十分だと内覧まで進まないことがあります。
売り出したら、
・室内が暗く見えていないか
・部屋の広さが伝わる写真になっているか
・バルコニーや眺望が掲載されているか
・共用部分の魅力が紹介されているか
・周辺施設や生活利便性が分かるか
などを確認しましょう。
マンションの場合は室内だけでなく、
・エントランス
・宅配ボックス
・駐車場
・共用施設
・セキュリティ
・管理状態
なども購入判断の材料になります。
実際に住んでいるからこそ分かる生活上のメリットがあれば、不動産会社へ伝えておくことも大切です。
8.売却前は高額なリフォームより清掃を優先する
マンションを高く売ろうとして、売却前にキッチンや浴室などをリフォームすることがあります。しかし、200万円のリフォームをしたからといって、売却価格が200万円以上高くなるとは限りません。
中古マンションを購入する人の中には、購入後に自分好みにリノベーションしたい人もいます。
そのため、まず優先したいのは、
・玄関を整理する
・水回りを清掃する
・不要な物を減らす
・窓を清掃する
・においがこもらないよう換気する
といった比較的費用のかからない対策です。
室内の物が多ければ、実際の専有面積は同じでも狭く見えることがあります。
売却するためだけの高額なリフォームは先に行わず、現在の状態で査定を受けてから費用対効果を判断しましょう。
9.内覧では明るさ・広さ・生活のしやすさを伝える
内覧は、写真だけでは分からない室内の状態を購入希望者が確認する機会です。
内覧当日は、
・カーテンを開ける
・照明をつける
・十分に換気する
・玄関や廊下に物を置きすぎない
・水回りを清潔にしておく
といった準備をします。
また、
「午前中はリビングまで日が入る」
「スーパーまで歩きやすい」
「共用部分の管理が丁寧」
「宅配ボックスが使いやすい」
など、物件情報だけでは伝わりにくい生活上の特徴もあります。ただし、無理に良く見せようとして事実と異なる説明をする必要はありません。聞かれたことについて、実際に生活して分かっている範囲で答えることが購入者の安心につながります。
10.値下げする条件を事前に決める
マンションを売り出してすぐに買主が決まるとは限りません。
一定期間売れないと値下げを検討することになりますが、その場の感覚だけで価格を変更すると必要以上に下げてしまうことがあります。
売り出す前に、
・現在の価格でいつまで販売するか
・問い合わせ数が少ない場合は何を見直すか
・内覧数が多いのに売れない場合はどうするか
・値下げできる下限はいくらか
を決めておくと判断しやすくなります。
また、購入希望者から価格交渉を受けた場合も、金額だけで判断する必要はありません。
引き渡し時期や設備の扱いなど、売買条件全体を見て判断できます。
値下げは「売れないからする」のではなく、反響と売却期限を確認したうえで戦略的に行うことが重要です。
マンション売却で特に注意したい5つのポイント
査定額と売却価格を同じだと思わない
査定額は、不動産会社が周辺の取引状況や物件条件などから算出した価格の目安です。
その価格で購入してくれる買主が決まっているわけではありません。
査定額だけで依頼先を決めるのではなく、売り出し価格や想定成約価格、販売期間まで確認しましょう。
売却を急ぎすぎない
売却期限まで時間がないと、購入希望者からの価格交渉に対して強く出にくくなります。住み替えや転勤などで期限が決まっている場合は、余裕を持って売却活動を始めることが重要です。
また、高く売ることを優先するのか、早く売ることを優先するのかによっても販売方法は変わります。最初に優先順位を明確にしておきましょう。
把握している不具合を隠さない
給湯器の不具合や漏水、設備故障など、把握している問題がある場合は売却時に正確に伝えることが重要です。売却価格が下がることを心配して問題を伝えず、契約後に発覚するとトラブルにつながる可能性があります。
すべて修理してから売る必要があるとは限りません。
「修理するか」と「把握している不具合を伝えるか」は分けて考えましょう。
管理費や修繕積立金などの情報を整理する
マンションでは、専有部分だけでなくマンション全体の管理状況も購入判断に影響します。
売却前には、
・管理費
・修繕積立金
・駐車場料金
・長期修繕計画
・大規模修繕の予定
・管理規約
などの資料を確認しておくとスムーズです。
特に管理費や修繕積立金の変更予定、大規模修繕に関する情報は購入希望者が確認することがあります。分からない状態のまま販売するより、事前に情報を整理しておいた方が質問にも対応しやすくなります。
売却前に必要以上のお金をかけない
マンションを高く売ろうとして、
・全面リフォーム
・設備をすべて新品に交換
・高額なホームステージング
などを行っても、その費用を売却価格で回収できるとは限りません。
特に築年数が経過したマンションでは、購入後のリノベーションを前提として探している人もいます。
まず現状で査定し、売却価格がどの程度変わる可能性があるのかを確認してから費用をかけるか判断しましょう。
売り出したマンションがなかなか売れないときは?
販売を始めても購入申込みにつながらない場合は、すぐに値下げする前に原因を整理します。
見るべきポイントは、
| 状況 | 確認したいこと |
| 閲覧されない | 広告写真・掲載情報・価格帯 |
| 閲覧はあるが問い合わせがない | 周辺物件との価格差・条件 |
| 問い合わせはあるが内覧されない | 広告と実物の条件差 |
| 内覧はあるが申込みがない | 室内の印象・価格・競合物件 |
| 申込みはあるがまとまらない | 価格交渉・引き渡し条件 |
例えば内覧が何件も入っているなら、物件自体には一定の関心があると考えられます。
その状態で購入につながらないのであれば、単純に広告を増やすより、内覧後に断られた理由を確認した方が改善点を見つけやすくなります。
反対に、そもそも問い合わせがない場合は、価格や物件情報が検索段階で比較対象から外れている可能性があります。
売れない原因を特定してから対策することで、不必要な値下げを避けやすくなります。
マンションを高く売るなら「値上げ」より「値下げを防ぐ」
マンションを高く売るためのコツというと、査定価格を上げたり、リフォームして物件価値を高めたりすることをイメージするかもしれません。
しかし、実際の売却では、
・相場とかけ離れた価格で売り出す
・広告写真が十分でない
・内覧の印象が悪い
・反響を確認せず販売を続ける
・売却期限直前に大幅な値下げをする
といったことが、最終的な成約価格を下げる原因になります。
最初に現在の相場を把握し、査定額の根拠と販売戦略を比較したうえで売却を依頼する不動産会社を選びましょう。
販売開始後は、不動産会社へ任せたままにせず、問い合わせ数や内覧結果などを確認しながら必要な調整を行います。
マンションを高く売るために重要なのは、最初から高値を付けることではなく、適切な価格で多くの購入候補に見てもらい、必要以上の値下げをせず成約につなげることです。





































































































