中古の家を売ろうと思っても、「何から始めればいいのか」「売却までどのような手続きがあるのか」「費用はいくらかかるのか」と分からないことも多いでしょう。
中古住宅の売却では、いきなり不動産会社を決めるのではなく、まず住宅ローンの残高や家の名義、売却したい時期などを整理しておくことが大切です。そのうえで相場を確認し、査定、媒介契約、販売活動、売買契約、決済・引き渡しと進んでいきます。
また、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や印紙税などの費用が発生する場合があるため、売却後の手取り額まで考えておく必要があります。
中古住宅を売るときは、売却までの流れと費用を最初に把握しておくと、途中で慌てずに進めやすくなります。
目次
中古の家を売る前に確認しておきたいこと
査定を依頼する前に、現在の住宅について分かる情報を整理しておきましょう。
特に確認したいのは次の項目です。
・登記上の所有者
・住宅ローンの残高
・抵当権の有無
・売却したい時期
・購入時の売買契約書や図面
・リフォームや修繕の履歴
・雨漏りや設備故障など把握している不具合
住宅ローンが残っている場合は、現在の残高を確認しておくことが重要です。
例えば3,000万円で売却できそうでも、住宅ローンが2,500万円残っていれば、売却費用を差し引いた後に自由に使える金額は限られます。
また、相続した住宅では、登記上の名義が亡くなった人のままになっていることもあります。
「いくらで売れるか」を調べる前に、現在その家を売却できる状態になっているかを確認しておきましょう。
中古住宅を売却する流れ7ステップ
中古住宅を仲介で売却する場合は、おおむね次の順番で進みます。情報収集、査定、媒介契約、販売活動、売買契約、決済・引き渡しという流れが一般的です。
1.売却条件と住宅ローン残高を整理する
まず、「なぜ売るのか」「いつまでに売りたいのか」を整理します。
例えば、
・住み替えのため半年以内に売りたい
・時間がかかっても価格を優先したい
・相続した家なので早めに整理したい
など、売却理由によって進め方は変わります。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関などで現在の残高も確認します。
売却代金でローンを完済できるかどうかによって、その後の資金計画も変わるためです。
2.相場を確認して査定を受ける
次に、周辺で売り出されている住宅や過去の取引状況などから、おおよその相場を確認します。そのうえで不動産会社へ査定を依頼します。
中古住宅の査定では、
・立地
・土地の広さや形
・築年数
・建物の状態
・間取り
・接道状況
・周辺の取引状況
・リフォームや修繕の履歴
などが確認されます。
同じ築年数でも、住宅の状態や立地が違えば査定結果は変わります。
また、査定額は「この金額で必ず売れる」という保証ではありません。
査定額の高さだけを見るのではなく、なぜその価格になったのかという根拠まで確認することが大切です。
3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
仲介で売却する場合は、売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には、
・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約
の3種類があります。国土交通省の標準媒介契約約款でも、この3種類が定められています。
一般媒介契約は複数の不動産会社へ依頼できます。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、基本的に1社へ売却活動を任せる方法です。
それぞれ契約内容が異なるため、「専任の方が必ず売れる」「一般媒介なら必ず高く売れる」と単純には決められません。物件の条件や売却方針に合わせて選びましょう。
4.売り出し価格を決めて販売活動を始める
査定価格や周辺相場、売却希望時期などを考えて売り出し価格を決めます。
できるだけ高く売りたいからといって、周辺相場から大きく離れた価格にすると、購入希望者から比較対象に入りにくくなることがあります。反対に、必要以上に低い価格から始めれば、本来得られたはずの売却代金を減らしてしまう可能性があります。仲介の場合は、不動産会社が物件情報を公開し、購入希望者を探します。
売り出し価格は査定額をそのまま使うのではなく、相場・売却期限・価格交渉の余地まで考えて決めることがポイントです。
5.内覧と購入条件の調整を行う
購入希望者が現れたら、実際に住宅を確認してもらう内覧を行います。
売却前に大規模なリフォームを行う必要はありませんが、
・玄関を整理する
・不要な物を減らす
・水回りを清掃する
・室内を換気する
・カーテンを開けて明るくする
といった準備をしておくと、購入後の生活をイメージしてもらいやすくなります。
購入希望者から申込みが入ったら、価格や引き渡し日などの条件を調整します。
売買契約を締結する
売主と買主が売却価格や条件について合意したら、売買契約を締結します。
契約時には、
・売買価格
・手付金
・引き渡し日
・設備の扱い
・契約解除に関する条件
・契約不適合責任
などを確認します。
中古住宅では、雨漏りやシロアリ被害、設備故障など、売主が把握している不具合についても整理しておくことが重要です。把握している問題を曖昧にしたまま売却すると、引き渡し後のトラブルにつながる可能性があります。
決済と引き渡しを行う
決済日には、買主から残代金を受け取ります。住宅ローンが残っている場合は、売却代金などからローンを完済し、抵当権を抹消できるよう手続きを進めます。
その後、所有権移転登記に必要な手続きを行い、鍵や必要書類を買主へ渡します。
これで中古住宅の売却は完了です。
売却後に譲渡所得が発生した場合や、マイホーム売却に関する税制上の特例を利用する場合などは、確定申告が必要になることがあります。
中古住宅の売却にかかる費用
中古住宅を売却するときは、売却価格とは別に諸費用を考えておく必要があります。
主な費用は次のとおりです。
| 費用 | 主に発生するケース |
| 仲介手数料 | 仲介によって売買が成立した場合 |
| 印紙税 | 課税対象となる紙の売買契約書を作成する場合 |
| 抵当権抹消に関する費用 | 抵当権が残っている場合 |
| 住宅ローン一括返済手数料 | 金融機関で設定されている場合 |
| 測量費 | 土地の境界確認などが必要な場合 |
| 解体費 | 建物を解体して引き渡す場合 |
| 譲渡所得に対する税金 | 課税対象となる売却益が出た場合 |
すべての中古住宅で、これらがすべて必要になるわけではありません。
例えば境界が明確であれば、新たな測量が必要ないこともあります。
仲介手数料
仲介によって売買が成立すると、不動産会社へ仲介手数料を支払います。
売却価格が400万円を超える一般的な取引では、上限額を次の速算式で求められます。
(売却価格×3%+6万円)×1.1
例えば3,000万円で売却した場合、上限額は105万6,000円(税込)です。
なお、800万円以下の宅地・建物については、2024年7月1日から仲介手数料に特例が設けられているため、該当する場合は媒介契約時に金額を確認する必要があります。
印紙税
課税対象となる紙の不動産売買契約書を作成した場合は、契約金額に応じた印紙税がかかります。
一定の不動産譲渡契約書については軽減措置があり、現在は2027年3月31日までに作成される対象契約書に適用されています。
住宅ローンや抵当権に関する費用
住宅ローンが残っている場合は、売却時に完済するための手続きが必要です。
金融機関によっては、一括返済時に手数料がかかることがあります。また、抵当権を抹消する際には登録免許税や、司法書士へ依頼した場合の報酬などが必要になります。
売却益が出た場合の税金
中古住宅を売却して利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税や住民税などが課税される可能性があります。
課税譲渡所得は基本的に、
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-適用できる特別控除額
という考え方で計算します。
取得費には、不動産の購入代金や建築代金などが含まれます。
譲渡費用には、売却時の仲介手数料や一定の測量費などが含まれる場合があります。
マイホームを売却した場合には、一定の条件を満たすことで最高3,000万円の特別控除を利用できるケースもあります。
中古住宅の売却では、売却価格ではなく、ローン残債や諸費用、税金を差し引いた後の手取り額まで確認することが重要です。
中古住宅は売る前にリフォームした方がいい?
中古の家を売るとき、「古い設備を新しくした方が高く売れるのでは」と考えることがあります。
しかし、高額なリフォームを行ったからといって、その費用と同じだけ売却価格が上がるとは限りません。購入後に自分好みにリフォームしたいと考える買主もいます。
そのため、
・水回りをすべて交換する
・外壁を全面的に塗装する
・内装を全面的に作り直す
といった高額な工事は、売却前に必ず行う必要はありません。
一方で、
・室内を清掃する
・庭を整える
・不要な物を処分する
・壊れたドアノブなど小さな不具合を確認する
といった準備は、比較的少ない費用で内覧時の印象を整えることにつながります。
売却のためだけに高額なリフォームを行う場合は、まず現在の状態で査定を受け、工事費を回収できそうか確認してから判断しましょう。
中古住宅を売るときに注意したいポイント
売却をスムーズに進めるためには、流れだけでなく途中で起こりやすい失敗も把握しておきましょう。
査定額の高さだけで依頼先を決めない
査定額は、不動産会社によって差が出ることがあります。
しかし、最も高い査定額を提示した会社が最も高く売却できるとは限りません。
査定額と一緒に、
・価格の根拠
・周辺の取引状況
・想定する販売期間
・販売方法
まで確認することが大切です。
売り出し価格を高くしすぎない
売却価格を少しでも高くしたい気持ちは自然ですが、周辺の中古住宅と比べて明らかに高い価格では、問い合わせが入りにくくなることがあります。
長期間売れずに何度も価格を下げるより、最初から相場や売却期限を考慮した価格設定をすることが重要です。
知っている不具合を隠さない
中古住宅では、築年数の経過によって不具合が発生していることがあります。雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、把握している問題については売却時に正確に伝えます。
「古い家だから仕方ない」と曖昧にせず、分かっている状態を整理したうえで売買契約を進めることが、引き渡し後のトラブル防止につながります。
中古住宅は売却の流れと費用を把握してから進める
中古の家を売るときは、まず住宅ローン残高や名義、売却希望時期を確認し、相場を調べてから査定へ進みます。
仲介で売却する場合は、
売却準備
↓
査定
↓
媒介契約
↓
販売活動・内覧
↓
売買契約
↓
決済・引き渡し
という流れが基本です。
また、売却には仲介手数料や印紙税などの費用がかかる場合があります。
住宅ローンが残っていれば売却代金から返済する必要があり、売却によって利益が出れば税金についても確認が必要です。
中古住宅を売るときは「いくらで売れるのか」だけでなく、「いつまでに売りたいか」「売却後にいくら手元へ残るのか」まで考えて進めることが大切です。
























































































