老人ホームでの遺品整理:進め方や注意点をご紹介!

老人ホームに入居されていたご家族が亡くなった場合、遺品整理はどうしたらいいか疑問に思われる方も多いでしょう。

実際、老人ホームの遺品整理とご自宅の遺品整理とでは、事情が異なる場合も多くあります。そこで今回は、老人ホームでの遺品整理の基本的な流れや注意点などにについて詳しくご紹介いたします。

老人ホームの遺品整理の基本的な流れ

老人ホームの遺品整理は、計画的に進めることがとても重要です。事前に作業の流れを把握しておくことで、当日の作業をスムーズに進めることができます。以下に、具体的な流れをご紹介しますので、ご参考にしてください。

①相続に関するものの整理

相続に関する遺品の整理は、遺品整理の中でも最も重要な作業の一つですので、まず最初に行いましょう。

相続をするものがある場合には、故人が亡くなった日の翌日から数えて10か月の間に相続税の申告をしなければなりませんので、早めに書類を整理しておくことをおすすめします。

相続に関する書類は、以下のようなものがあります。

  • 銀行通帳
  • 生命保険の書類
  • 不動産登記に関する情報
  • 株式などの有価証券
  • 遺言書

故人が上記の資産を多く所有している方であるならば、老人ホームへの入居時に、自宅から通帳や書類などを持ち出している場合が多いです。

また、老人ホームに持ち込まず、銀行の貸金庫に保管しているような場合もあります。そのような場合には、銀行に行って金庫の中身を回収しなければなりません。

いずれにしても、あらかじめ保管場所を確認しておくと、スムーズに遺品整理作業を進めることができますので、事前に確認しておけると良いでしょう。

書類が整理出来たら、次に相続人の確認を行います。法定相続人が誰であるか、遺言書が残っている場合にはその内容を把握しておきましょう。遺言がある場合は、その内容に基づいて手続きを進めていくことで、相続人間のトラブルを恐れることができます。

②形見分け

相続に関することができたら、次は形見分けをしましょう。

形見分けとは、故人の形見を親族や友人で分けることです。形見分けをすることで、故人の思い出を共有することができます。

しかし、着物や時計、美術品類など、価値が高い物を形見分けするときは、どれを誰が相続するかで、親族間のトラブルに発展してしまうこともあります。その際には、故人が遺言書やエンディングノートに、相続に関することを記載している場合があります。

特に、エンディングノートには、形見分けを誰に対して行うかなどの項目が記載されている場合もありますので、本人の希望が確認できた場合、親族間トラブルの回避が期待できます。

また、故人の希望などが特になかった場合は、遺品をすべて現金化していまい、相続人の間だけで分配するとトラブルの回避がしやすくなりますのでおすすめです。

③不用品の処分(お焚き上げ、ゴミ処分)

最終的に残った不用品は処分しましょう。

相続に関する書類や遺品を整理し、形見分けを終えた後のものは、ほとんどが不用品になります。

不用品の処分方法について、いくつかご紹介しますので、ご参考にしてください。

(1)自宅に持ち帰る

最初の方法は、自宅に持ち帰ることです。

不用品といっても、家族にとっては大切な思い出の品であることもあります。そういったものは自宅に持ち帰り、手元で保管するのが良いでしょう。

ある程度心が落ち着いた段階で、本当に必要なものなのか不用なものなのかを判断してから、あらためて整理しても遅くはありません。

(2)業者に買い取ってもらう

不用品を処分するとき、業者に買い取ってもらうのも一つの手段です。

ただし、遺品を売却する際には、必ず事前に家族や親族に相談し、同意を得るようにしましょう。相談なしに売却を進めると、想像を超えた買取額になって、後々トラブルに発展する可能性があります。

皆でしっかりと話し合い、納得した上で買取業者に見積もりを依頼することが重要です。

老人ホームと自宅の遺品整理の違い

老人ホームの遺品整理と自宅での遺品整理には、方法や手順にいくつか異なる点があります。その具体的な違いを以下にご紹介します。

違い①:遺品の量が少なく、短時間で終わることも

老人ホームでの遺品整理は、一般的に自宅の遺品整理に比べて遺品の量が少ない傾向があります。理由としては、老人ホームの限られたスペースで生活しているため、入居の際に持ち込む物が必要最低限に抑えられるからです。

自宅と違い、大型の家具や家電等も置いていない場合が多いため、整理が比較的容易で、短時間で作業が完了してしまうこともあります。

違い②:他の入居者への配慮が必要

老人ホームで遺品整理を行う際には、他の入居者への配慮に十分に注意しましょう。

遺品整理中にあまり大きな音を出すと、周囲の迷惑になってしまうこともあります。老人ホームは多くの人が入居していますので、その人たちにも配慮した上で作業することが必要です。

また、老人ホームに入居している高齢者の方は、感染症のリスクが高い傾向にあります。そのため、老人ホームに入る際には、除菌スプレーの使用、マスクの着用、体温測定、施設によっては事前にコロナウイルスの検査キットで陰性を確認するなど、感染症対策を徹底することが必要です。感染症対策は施設によって異なるため、事前に問い合わせてどこまで準備をしておくべきか確認しておきましょう。

自分で老人ホームの遺品整理を行う際のポイント

老人ホームで遺品整理を行う際、どうやって作業を進めればいいのか分からず、戸惑ってしまう方も多いと思います。しかし、心配する必要はありません。

この章では、自分で老人ホームの遺品整理を行う際の重要なポイントをご紹介します。

スピード重視で行う

老人ホームは、入居者が亡くなった場合、いつまでに退去をしなければいけないのかが決まっている場合がほとんどです。そのため、スピード感を大切にして作業を進めていきましょう。

作業するにあたって、まず目標を設定してスタートしましょう。「1時間でこの量を整理する」といった、具体的な目標を持つことで、作業にメリハリが生まれます。また、遺品整理を行う際には、時間内に作業を終えることを意識し、悩む時間を減らすことも大切です。必要なものか不用なものかで判断を迷ってしまったときには、とりあえず判断に迷うものとして一つにまとめておき、自宅に持ち帰った後でじっくり考えるようにしましょう。

生前整理であらかじめ整理しておく

生前整理は、遺品整理を円滑に行うための事前準備として、非常に効果的な方法です。事前に必要な物や思い出の品、重要な書類などを整理することで、遺品整理での作業を大幅に減らすことができます。

生前整理をする際は、まず相続や財産に関する重要な書類の情報を整理しておくことが非常に重要です。例えば、不動産の権利書や保険証券、預貯金の通帳、年金手帳など、相続手続きに必要な書類を整理し、また、遺言書も作成している場合は、保管場所を信頼できる家族と共有しておきます。

次に、日常的に使用している物を見直してみましょう。普段使っている中で本当に必要なもの、今後も残したい物を相談しておき、それ以外は処分するとあらかじめ決めておきましょう。

思い出の品については、誰に形見分けするかなどを相談しながら、生前整理をコツコツ進めておくと良いでしょう。

自力が難しい場合、遺品整理業者に依頼する

遺品整理は、体力的・精神的な負担が大きく、また、それなりの時間も要します。

忙しくて時間が取れない、遠方に住んでいてすぐに作業しに行くことができない、周りに一緒に作業してくれる人がおらず、一人で行うには重労働になるといった場合には、遺品整理業者に代行してもらう事を検討するのがおすすめです。

老人ホームの遺品整理を遺品整理業者に依頼するメリット

老人ホームの遺品整理を遺品整理業者に依頼することには、さまざまなメリットがあります。遺品整理業者は遺品整理の現場に慣れていますので、自分たちで行うよりも、細かなところまで配慮した対応に期待ができます。

ここでは、老人ホームの遺品整理を遺品整理業者に依頼した時のメリットをいくつかご紹介します。

相続に関する相談ができて安心

遺品整理をしていると、相続に関係するようなものが出てくることがしばしばあります。

遺品整理業者は、相続に関係する知識も豊富に持ち合わせていますので、どうしたらいいのか相談できることは、大きなメリットになります。

自分で遺品整理をすると、これは取っておくべきか捨てるべきか、判断に迷うものが必ず出てきます。それを自分で調べるのでは手間がかかりますが、遺品整理業者に依頼すると、その判断の手間が省けるため安心です。

体力的負担・精神的負担を軽減できる

老人ホームでの遺品整理は、ご家族にとって大きな負担となります。また、思い出が詰まった品々を整理する過程で、体力的負担や精神的なストレスを強く感じることも少なくありません。

遺品整理業者に依頼すれば、専門のスタッフが素早くかつ丁寧に作業をしてくれるため、ご家族にとっての負担はほとんどありません。

さらに、業者は遺品整理に関して豊富な経験を持っているため、物の価値や適切な処分方法をすぐに判断してくれます。リサイクル品なども適切な方法ですべて処分してくれますので、ご家族の負担を最小限まで減らすことができます。

時間や手間をかけずに済む

特にご家族が遠方に住んでいたり、子育てや仕事で忙しかったりする状況の中では、遺品整理のためにまとまった時間を確保することは非常に難しいでしょう。

遺品整理業者に依頼すると、整理から処分まで、工程のほとんどを遺品整理業者が代行してくれます。また、こういった品物は処分しないでほしいなど、要望を事前に伝えておくと、それを考慮した上で作業を進めるので安心です。

遺品整理業者を選ぶ際の注意点

遺品整理業者を選ぶ際には、いくつかの注意点があります。

特に、遺品整理業者の中には悪徳業者もいるので、そういった業者に注意して、慎重に業者選びを行う必要があります。

この章では、悪徳業者に引っかからないために注意したいポイントについて解説します。

事前に見積もりを依頼する

遺品整理業者を選ぶ際は、まず必ず事前に見積もりを取るようにしましょう。

悪徳業者の場合、広告や見積りの段階では少なめに料金を記載しておき、作業後に追加の料金として大幅に増額して料金を請求してくるケースがあります。

それを防ぐために、事前に見積もりを依頼し、その内訳についてしっかり説明してもらう事が大切です。

一部、見積りをとる段階で費用が掛かってしまう業者もありますが、多くは無料で出してもらうことが出来ます。ので、まずはそういった業者から検討していくことをおすすめします。

複数の遺品整理業者に見積もりを依頼し、比較する

また、見積もりを依頼する際は、複数の遺品整理業者にお願いし、複数の見積りを比較検討することがおすすめです。

見積りの値段が安いところが一番良いというわけではありません。前述のとおり、悪徳業者は最初の見積りは破格の安さで見積もるケースもあるからです。値段だけではなく、内容の説明が丁寧だったか、応対はどうか、口コミなどは信頼できるかなどを考慮したうえで依頼しましょう。

まとめ

今回は老人ホームの遺品整理について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。もし、介護施設での遺品整理を行う際には、計画をしっかり立て、事前の準備を行ったうえで作業に入るようにしましょう。

自分で行うのが難しいと思ったときには、無理をせずに遺品整理業者に依頼して代行してもらうこともおすすめします。

#老人ホーム #介護施設 #遺品整理 #やり方

この記事の監修者

エコリング不動産
宅地建物取引士・遺品整理士・相続葬送支援士・鑑定士
本田 和裕

北海道で不動産業14年従事、売買取引件数400件以上、不動産仲介・買取からリフォームプロデュース・再販売まで対応可能です。エコリングでは日用品・ブランド品の鑑定・査定も行っておりおウチまるごとの対応が出来ます!

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