遺品のお焚き上げ方法と料金について徹底解説

遺品整理を進めていくと、不用な遺品の適切な取り扱い方について考えなければなりません。遺品の中には、故人が大切にしていたものや写真、人形やお守り・お札など、そのまま捨てるには忍びないものもあります。このような遺品は、遺品供養(お焚き上げ)をして手放すと良いでしょう。

本記事では、お焚き上げの概要や依頼する方法、費用相場、注意点などについて詳しく解説します。

遺品のお焚き上げとは

遺品のお焚き上げは、故人が残した思い出の品々を火で浄化し、供養する行為です。なぜこのような儀式が行われるのか、その背景や意義について解説します。

遺品のお焚き上げの意味

遺品のお焚き上げとは、故人が生前に使っていたものや、故人を偲ばせる品々を火によって浄化し、供養する伝統的な儀式です。この儀式を通して、故人の魂が安らかに成仏することを祈ります。特に、日本では「物にも魂が宿る」とする考え方が古くからあり、単に捨ててしまうのではなく、お焚き上げによって魂や想いを供養する重要性が見直されています。たとえば、古い写真、手紙、衣類など、故人の生活や想い出が詰まった品物は、適切な方法でお焚き上げをすることで、遺族も精神的な区切りをつけやすくなります。

お焚き上げが必要とされる理由

遺品をただの「物」として捨てることに心理的な抵抗を感じる方も多いでしょう。特に手書きの手紙や写真、生活の中で愛用していた小物など、故人の感情や人柄を窺い知ることができる遺品の数々は、感謝を込めて供養するのが望ましいとされています。お焚き上げは、遺品を物理的に処理するだけでなく、故人の安寧を祈ることで、残された遺族が気持ちを整理する大切な機会ともなります。

お焚き上げ供養が多い品物

お焚き上げや供養の対象となることが多い品物には、写真や日記、直筆の手紙、愛用されていた服やアクセサリー、ぬいぐるみなど、故人の想いが詰まった思い出の品々があります。また、神棚や仏壇、お守り、お札といった宗教や信仰に関わるもの、あるいは人形や置物のように魂が宿っているように感じられる捨てにくいものも、お焚き上げ供養の対象としてよく挙げられます。

すべての遺品にお焚き上げや供養をする必要はありませんが、故人の愛用品を手放す際に感謝を込めて別れを告げることで、遺族の心の整理ができ、精神的な安定を保つことにつながります。

遺品のお焚き上げの方法

遺品のお焚き上げには、合同供養・個別供養・現場供養の3つの供養方法があります。

1.合同供養

合同供養は、複数の遺品を一度にまとめて供養する方法です。通常、お寺や神社などの供養施設で行われ、特定の日時に合わせて他の遺族の遺品と共に供養が行われます。一般的には合同での供養祭が行われ、僧侶や神職の方が祈祷や祝詞を捧げて供養する形です。合同供養は、参加する遺族が直接会場に足を運ぶか、遺品を郵送して供養を依頼する場合も多くあります。

合同供養は、特に費用を抑えたい方や、大量の遺品の供養を行いたい方に向いています。費用が比較的安価であることや、個別の手続きが不用で簡便であることから、遠方に住んでいる方や手続きに手間をかけたくない場合にもおすすめです。また、特定の品物にこだわりがない場合や、数が多い遺品を一度に供養したい方には、合同供養が適しています。

2.個別供養

個別供養は単独で遺品をお焚き上げする方法です。この場合、僧侶や神職が個別に供養するため、個々の遺品への思いや祈りがより深く捧げられる傾向があります。また、供養証明書の発行など、依頼者に供養の証が渡される場合も多いです。希望があれば供養に立ち会うこともでき、より丁寧に供養が行われます。

個別供養は故人との思い出が詰まった遺品を、心を込めて供養したいと考える方に向いています。また、愛用していた物や貴重な遺品に対して特別な気持ちがある場合や、単独での供養を望む場合に最適です。立ち会いや個別の供養証明書を希望する方にもおすすめです。

3.現場供養

現場供養は、故人が生前過ごしていた場所や、遺品が発見された現地で直接供養を行う方法です。遺族の意向に応じて、その場で供養の儀式が行われ、僧侶や神職が現地で祈祷や祝詞を捧げる形式です。特に家や施設に残された物などに思い入れがある場合、現場供養を選ぶことで、故人が過ごした空間をそのまま供養の場とすることができます。

例えば、自宅や介護施設、特別な場所での供養を希望する方におすすめです。また、移動が難しい大型の遺品や、取り外しが困難な遺品がある場合にも現場供養が有効です。供養場所に立ち会いたい遺族や、空間自体を供養することで心の整理をしたいと考える方にも適しています。

遺品のお焚き上げの依頼方法

遺品のお焚き上げにはさまざまな方法があり、どの依頼先を選ぶかによって儀式の内容や手続きも異なります。ここでは、お焚き上げの依頼方法を具体的に解説します。

お寺や神社に依頼する方法

日本では、地域のお寺や神社が遺品のお焚き上げを行っているケースが多くあります。仏教寺院では「護摩供養」や「供養祭」として、神社では「大祓(おおはらえ)」の一環として供養が行われます。お寺や神社に依頼する際には、事前に予約が必要だったり、環境問題の観点からお焚き上げを行っていない場合もあるので、事前の確認をおすすめします。

多くの寺院や神社では、直接持ち込むことができるほか、郵送での対応も行っています。また、供養の際にはお経や祝詞が捧げられ、遺族も参列して祈りを捧げることが可能な場合もあります。宗教的な手順での供養を希望する方には、この方法が安心です。

遺品整理業者に依頼する方法

遺品整理業者の多くは、遺品整理と供養を一括で行うサービスを提供していたり、お焚き上げサービスの業者と提携していたりします。遺品整理業者の利点は、遺品の仕分け、梱包、整理の作業を一手に引き受けてくれることです。特に量が多い場合や、遠方に住む遺族にとっては、作業負担が軽減され、心理的にも安心です。また、供養証明書を発行してくれる業者もあります。費用は業者や供養内容によって異なりますが、一般的には一括での依頼ができ、遺族の負担軽減にもつながります。

葬儀社に依頼する方法

近年では、葬儀社でもお焚き上げサービスを提供しているところが増えています。葬儀社に遺品供養を依頼することで、故人の葬儀や法要と一貫して供養を行えるため、手続きがスムーズです。また、葬儀社のスタッフが遺族の気持ちに寄り添って供養を行ってくれるため、安心感もあります。

 葬儀社の場合、葬儀プランに供養サービスを追加できることが多く、まとめて依頼したい方におすすめです。

お焚き上げ業者に依頼する方法

お焚き上げ専門の業者も存在し、特にインターネットでの依頼が可能な点が特徴です。お焚き上げ業者は、地域に限らず全国対応のところも多く、依頼した遺品を郵送で送るだけで供養が行われるため、遠方に住む遺族にも便利です。料金については、お焚き上げしたい遺品の大きさによって変動する場合が多いです。デジタル供養と呼ばれるサービスも提供している業者があり、SNSやオンラインアルバムに残された故人のデジタル遺品も供養してくれます。

お焚き上げを依頼する前に

お焚き上げを神社やお寺、業者に依頼する前に、宗教や儀式についても留意しておく必要があります。仏教や神道以外の宗教ではお焚き上げの考え方や儀式が異なるため、各宗教の施設に相談しましょう。故人や遺族の信仰に適した方法で供養した方が、悔いのない整理が行えます。

遺品のお焚き上げの費用

遺品のお焚き上げを依頼する際の費用は、依頼先や供養内容により異なります。ここでは、お焚き上げの料金相場や依頼先別の料金例について解説します。

費用の相場

お焚き上げの費用は、依頼する場所や供養内容、品物の種類や数量によって変わります。基本的な相場としては、数千円から数万円と幅広いですが、依頼内容に応じて適切な料金を把握しておくことが大切です。たとえば、寺院や神社では比較的低価格で済む場合が多いですが、品数が多い場合や特別な供養内容を希望する場合は追加料金が発生することもあります。

依頼先別の料金例

  • お寺や神社:5,000円〜20,000円ほどが一般的です。品数によって追加料金がかかる場合もあります。
  • 遺品整理業者:10,000円〜30,000円程度。整理と供養が一括で行えるため、まとめて依頼したい場合に便利です。
  • 葬儀社:8,000円〜25,000円。葬儀プランに含まれる場合もあり、まとめて依頼が可能です。
  • お焚き上げ業者:オンラインで依頼可能なところは7,000円〜15,000円。遠方の遺族でも気軽に依頼できる点が魅力です。

お焚き上げ時の遺品に関する注意点

お焚き上げの際には、どの遺品が供養対象になるかを確認することが大切です。ここでは、一般的にお焚き上げできる遺品とできない遺品の違いについて詳しく説明します。

お焚き上げできる遺品

一般的にお焚き上げ可能なものは、以下のものがあります。

  ・衣類:故人が愛用していた衣類

  ・アクセサリー類:故人が愛用していた腕時計や眼鏡、アクセサリー

  ・故人との思い出の品:写真や手紙

  ・記念品:トロフィーやメダル

  ・お守り・お札:神棚や仏壇がある場合は、一緒に供養することが推奨されます。

  ・人形:人をかたどった人形やぬいぐるみも供養可能です。

  ・神棚、仏壇:宿っている魂を抜き取るため、「閉眼供養(脱魂式、抜魂式とも)」が推奨されます。

このように、「ただの不用品として捨てづらいもの」が挙げられます。これらの遺品を供養することで、故人への感謝や敬意が伝わり、遺族も心の整理がつけやすくなります。不安なものがあれば、一度依頼先に問い合わせてみることをおすすめします。

お焚き上げできない遺品

プラスチック製品、金属製品、電化製品、化学製品など、燃えないものは追加料金がかかったりお焚き上げができない場合が多く、適切な処理方法が求められます。これらの品は、お焚き上げ業者やリサイクル業者と相談し、手続きを確認しましょう。

デジタル遺品のお焚き上げの需要

近年では、スマホやパソコンの写真、SNSメッセージなど、デジタル遺品の供養も増えています。スマホに残された写真やメッセージを「デジタルお焚き上げ」することで、遺族の心が整理され、現代ならではの供養方法として注目されています。

お焚き上げの前に故人の希望を確認する

遺品を手放す前に、遺言書やエンディングノートで故人の意思や希望を確認し、できる限り尊重しましょう。残しておいてほしい、誰かに受け継いでほしいという遺言があれば、それをくみ取り手元に残したり、しかるべき人に渡るよう手配したりすることが望ましいです。ただし、遺品の痛みが激しく臭いがあるなどの保管が困難なものについては、家族と相談して供養に出すことを検討しても問題はありません。

遺品のお焚き上げのタイミング

お焚き上げを行う時期には特に決まりはありませんが、特別な日や法要に合わせることが一般的です。ここでは、お焚き上げを行う最適な時期と、具体的なタイミングについて紹介します。

お焚き上げの最適な時期とは?

お焚き上げを行う時期には特に決まりはありませんが、四十九日、一周忌、三回忌などの法要のタイミングで行うことが多いです。これにより、遺族が心の区切りをつけやすくなります。また、季節の変わり目やお盆の時期など、家族が集まりやすいタイミングに行うのも良いとされています。

具体的なタイミングの例

四十九日は故人が浄土へ旅立つとされる日で、この日に合わせてお焚き上げを行うと、霊的な区切りがつきやすいとされています。また、法要を行う際にお焚き上げを行うことで、故人と向き合う時間を共有できます。家族がそろう機会に合わせることで、供養の意義を深められます。四十九日法要は遺品をほかの方に譲渡する「形見分け」をおこなうタイミングでもあるので、遺品整理を四十九日法要までに終わらせ、形見分けするのかお焚き上げするのかを判断するのが一つの目安としておすすめです。

まとめ

遺品のお焚き上げは、故人の思い出を供養する大切な儀式です。依頼先や費用をしっかりと理解し、安心して任せられる方法を選びましょう。お焚き上げを通して、故人への感謝を示し、遺族自身も新たな生活への一歩を踏み出せるよう、丁寧に進めることが大切です。

#遺品 #お焚き上げ #供養

この記事の監修者

エコリング不動産
宅地建物取引士・遺品整理士・相続葬送支援士・鑑定士
本田 和裕

北海道で不動産業14年従事、売買取引件数400件以上、不動産仲介・買取からリフォームプロデュース・再販売まで対応可能です。エコリングでは日用品・ブランド品の鑑定・査定も行っておりおウチまるごとの対応が出来ます!

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