遺品整理はいつから始める?最適なタイミングと進め方

家族や親族など身近な方が亡くなったら、故人が遺した遺品を整理する必要があります。しかし、いつから遺品整理をするべきなのか、迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、遺品整理の最適な時期やその流れ、リスクを避けるためのポイントについて解説します。

遺品整理を始める最適なタイミング

遺品整理には明確な開始時期・期限は定められていませんが、一般的にはなるべく早め、できれば故人が亡くなってから3か月以内に始めるのが理想とされています。故人との思い出がまだ新しく、遺品に対する感情が整理しやすいためです。

ただし、一人ひとりの状況や心の状態などによりすぐに整理を始めるのが難しい場合もあります。また、遺品の量や作業者の人数などでも適切な時期は変わってきます。

ここでは、遺品整理をするタイミングと気を付けるべきポイントを解説します。

葬儀直後: 亡くなってから1週間以内

通夜・告別式が終わってすぐに遺品整理を始める場合、相続人や遺族が集まった状態で整理が始められるのが利点です。しかし、葬儀が終わって間もない時期はやることが多く、精神的にも辛い状況にあるため、遺品整理が心理的に難しい時期でもあります。

このタイミングでは特定の品を早めに確認・保管する必要がある場合があります。貴重品や重要書類(保険証書、遺言書、銀行口座関連書類など)は早めに確認し、盗難や紛失を防ぎましょう。冷蔵庫の食品やゴミなども、早めに処理する必要があります。

諸手続き後: 亡くなってから1週間〜1ヵ月程度

葬儀後、年金や保険関連の各種手続きが落ち着いたあとのタイミングです。健康保険証の返却や年金の受給停止手続きは亡くなって14日以内(厚生年金は10日以内)に行う必要があるため、それらの手続きがひと段落したら遺品整理を開始する方も多くいます。

賃貸物件や介護施設に住んでいた方の場合、賃貸契約解除や荷物の引き渡しが必要なため、ある程度の整理が急務になります。賃貸物件は死亡後も賃貸契約が継続され、毎月賃料が発生します。また、介護施設によっては「一週間以内に退去」などルールが決められていることもあるため、施設側に確認が必要です。

このタイミングで一度全体の状況を把握し、専門業者に相談を始めるのも良い選択です。

四十九日法要後: 亡くなってから2〜3ヵ月程度

四十九日法要を終えて気持ちが落ち着いてから遺品整理を始めるのも一般的です。この時期は親族が集まりやすいため、遺品の確認や分配がスムーズに進みます。また、思い出の品を振り返る時間として、感情の整理をつけるタイミングでもあります。

相続税の申告前: 亡くなってから7〜8ヵ月程度

相続税の申告期限は亡くなってから10か月以内です。故人の財産が相続税の非課税額を超える場合は、税務署に申告書を提出する必要があります。相続財産に該当する品物(宝石、骨董品、高価な家具など)は、遺品整理の際に分類し、相続財産評価をスムーズに進める必要があります。申告が遅れると、相続税の基礎控除を受けられなくなるだけでなく、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。税理士のアドバイスを受けながら進めると、後のトラブルや申告漏れを防ぎやすくなります。

遺品整理を始める際のチェックポイント

遺品整理には時間がかかることが多いので、遺品の量や作業者の人数を考慮して開始するタイミングを決めましょう。また、相続放棄を検討している場合は別の観点で注意が必要です。

相続放棄を検討している場合

故人の遺産を相続しない、相続放棄を検討している場合は、絶対に遺品整理を行ってはいけません。故人の遺品はすべて相続財産で、その財産は相続人に権利があるものだからです。遺品整理を行うと民法上の「単純承認」にあたり、相続する意思があるとみなされます。

借金などマイナスの遺産が多いとわかっている場合、遺品整理に着手する前に限定承認や相続放棄の可能性があることを考慮しておきましょう。

遺品の量や種類の確認

遺品整理をする場合、まずはじめに遺品の量や種類を確認しましょう。量が多い場合や大型の家具がある場合は遺品整理に時間がかかりますし、逆に遺品が少なければ短い時間で遺品整理が終わります。特別な品(貴重品、法律的に譲渡が必要な品など)が含まれる場合は、個人での作業が難しいこともあるため、専門業者の支援を検討することも重要です。

作業者の年齢・人数の考慮

遺品整理には時間と体力が必要です。作業者が体力に自信がある場合はスムーズに整理が進みますが、作業者が高齢の場合や人数が少ない場合、作業に時間がかかってしまいます。こうした場合には、家族や友人の協力を仰いだり、専門業者のサポートを活用することも考えましょう。

遺品整理の流れとスケジュール

遺品整理は、いつまでに遺品整理を終わらせたいかを決め、スケジュールを立てると円滑に進みます。

遺品整理の期限の目安

期限の目安としては、法的な手続きや金銭にかかわる更新のタイミングがあります。

以下の期限は特に優先すべきものなので、遺品整理の期限を決める際には意識しておきましょう。

  • 相続放棄の選択期限(3か月以内)
  • 相続税の申告期限(10か月以内)
  • 賃貸住宅の賃料が発生するタイミング
  • 不動産の固定資産税が発生するタイミング

遺品整理の大まかな流れ

遺品整理の大まかな流れは以下のようになります。

  1. 遺品整理のスケジュール・役割分担を決める
  2. 遺言書やエンディングノートを確認する
  3. 相続人・親族全員の合意を取る
  4. 遺品整理を始める
  5. 遺品を分類し不用品は手放す・親族や知人へ譲渡・買取の依頼

各工程をリストアップし、期限を設定することで、遺品整理の進捗を管理しやすくなります。

遺品整理にかかる時間の目安として、「ワンルームであれば1週間程度で片付けられる」とされています。しかし遺品の量が多い場合、数か月~半年かかることも珍しくありません。想定外の大量のごみや汚れが出たり、大型の家具がある、仕分けに思いのほか時間がかかるなど作業が進まない場合もあるので、設定した期限から余裕をもってスケジュールを組みましょう。

遺品整理の開始時期が遅れるリスク

遺品整理のタイミングは人それぞれですが、早めの対応が必要なことや、相続した物件の長期間の放置でトラブルが発生することもあります。ここでは遺品整理が遅れる場合にどのようなリスクがあるかを解説します。

1.物品の劣化・損壊

整理を長期間放置すると、湿気やカビ、害虫の影響で物品が劣化し、価値が下がる可能性があります。特に思い出の品や重要な書類などは、劣化すると修復が難しくなります。

2.精神的な負担の増大

整理が遅れることで、遺族がいつまでも整理しなければならないという精神的なプレッシャーが続き、感情的な負担が増える可能性があります。

3.金銭的リスクの発生

不動産や車などの維持費、固定資産税、管理費などが増え、遺品整理の開始が遅れることで不必要な費用が積み重なってしまいます。

4.相続手続きが遅れる

遺品整理が進まないと、遺産相続の手続きも進みにくくなります。これにより、相続税や遺産分割にかかる時間が増え、相続人間のトラブルの原因になることもあります。

5.社会的な問題の発生

特に故人の家が賃貸物件の場合、整理が遅れると大家や管理会社とのトラブルに発展する可能性があります。また、集合住宅で放置された部屋が原因で他の住人に迷惑をかけるケースもあります。

遺品整理のタイミングについてのよくある質問

ここでは、遺品整理を行うタイミングなどについて多く寄せられる質問をご紹介します。

Q1.遺品整理は葬儀の直後から始めたほうが良いですか?

遺品整理は葬儀の直後に始めることも可能ですが、精神的な負担が大きい時期でもあるため、無理せず落ち着いたタイミングで始める方が良いとされています。一般的には、四十九日を過ぎて気持ちが落ち着いてから始める方も多いです。

Q2.賃貸や介護施設に住んでいた場合、遺品整理はいつから始めるべきですか?

賃貸住宅や介護施設に住んでいた場合、賃貸契約解除や施設の退去手続きが必要となるため、早めに対応することが求められます。特に、賃貸では毎月賃料が発生するため、可能であれば1週間〜1か月以内に整理を開始し、退去手続きを進めるのが理想的です。

Q3.相続手続きが完了していなくても遺品整理を始めても良いですか?

相続手続きが完了していない場合でも、重要書類や貴重品を確保しておけば、遺品整理を進めることは可能です。ただし、相続財産の確定が必要な場合は、相続人全員の同意のもと進めるようにし、相続放棄の可能性がある場合は作業に注意しましょう。

Q4.他の家族の気持ちが落ち着かない場合、遺品整理を待つべきですか?

遺品整理のタイミングは、故人との思い出や心理的な状態によって異なります。無理に急ぐ必要はなく、家族の気持ちが落ち着いてから進める方が良いでしょう。四十九日法要が終わった頃や、年忌法要の後に始めるケースもあります。

Q5.遺品整理のベストなタイミングは四十九日後と聞きましたが、本当ですか?

四十九日法要が終わると心が落ち着くため、そのタイミングで遺品整理を始める方も多くいます。親族が集まる機会でもあるため、遺品の分配なども相談しやすい時期です。ただし、各家庭の状況や故人との関係性に応じて、最適なタイミングは異なります。

Q6.季節や気候が遺品整理のタイミングに影響することはありますか?

季節や気候によって作業の進めやすさが変わるため、夏場の猛暑や冬の厳寒期を避ける方もいます。特に、故人宅が遠方にある場合や、空き家が通風が悪い場合はカビや劣化を防ぐためにも気候が安定した時期に整理を進めるのが良いでしょう。

まとめ

遺品整理は精神的・物理的に大きな負担を伴う作業です。しかし、適切なタイミングと計画のもとで進めることで、トラブルや余計な負担を避けることが可能です。

最適なタイミングは人により異なりますが、遺品の量や作業者の人数、各種手続きの期限などを確認し適切な時期に開始しましょう。特に相続税の申告や固定資産税のかかるタイミングなど、期限の決まっていることは事前に確認し、追加の手続きや出費が発生しないようにすることも大切です。人手が足りない場合や遺品整理の時間がない場合、遺品整理業者への依頼も検討しましょう。遺品整理はスケジュールを立て、計画的に取り組むのがおすすめです。

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この記事の監修者

エコリング不動産
宅地建物取引士・遺品整理士・相続葬送支援士・鑑定士
本田 和裕

北海道で不動産業14年従事、売買取引件数400件以上、不動産仲介・買取からリフォームプロデュース・再販売まで対応可能です。エコリングでは日用品・ブランド品の鑑定・査定も行っておりおウチまるごとの対応が出来ます!

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